※本記事はFRONTSONIC様からサンプル製品や説明画像等を提供いただいてレビュー記事を作成しています。
※記事内容については狐丸自身の感じた通りに書かせていただいています。
以前にヘッドホン祭にてFRONTSONIC様のイヤーピースやヘッドホンを試させていただいたことがあったのですが、それが縁で今回その時ため下イヤーピースの改良版を試させていただく機会をいただきました。
その時の記事はこちらです↓
[日記 2/12] 冬のヘッドホン祭mini 2023に行ってきました
前方定位という他に見ない効果に興味がある方は読んでいただけると嬉しいです。
まとめ(AI要約)
- フロントソニックの前方定位イヤーピースが前方定位感を向上させてリニューアルしました。
- フロントソニックのイヤーピースは前方定位を目指して設計されており、そのための特殊な形状をしています。
- 音質は中低音が主体で、音の分離感と解像感が高いです。
- 前方定位により、音が自分の顔より前から鳴っている感覚が得られます。
- クラシック音楽との相性が良く、ステレオ音源でも立体感が感じられます。一方、バンド系のライブ音源は好みが分かれそうなところがあります。
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前方定位のイヤーピース
フロントソニックのイヤーピースはイヤホンの音を前方定位にする事を目的としたイヤーピースです。
同じようなもので、このブログでもお世話になっているLIZER LABさんのJIJUシリーズがありますね。
以前の2023年冬のヘッドホン祭の記事を見てもらえるとわかりますが、イヤーピースの色や形状がだいぶ変わっているのがわかるでしょうか。
実はあの時のイヤーピースを改良してより前方定位感を向上させたものとなっているそうです。
製品名は変わらないそうなので、形状や色などはだいぶ違うものになっていますので間違えないようにしましょう。
特徴
JIJUシリーズのような頭外定位とEPK10の前方定位の違いはボーカルのようなセンターの音の定位によく現れます。
頭外定位も前方定位も頭の外側に定位を感じられるようにするというのは同じなのですが、頭外定位の場合は実は真正面から聞こえてくる音は頭の外ではなく頭の中心に定位が来てしまっています。
これに対してフロントソニックの前方定位はボーカルも前方にあるように定位を移す事で全体の音を目の前から演奏されているような定位感を得られることができるそうです。
このセンターが前方に行っている聞こえ方を確認するには、モノラルの音声を聞いてみるとわかりやすいです。
モノラルはセンターの音になるので左右のステレオ情報に惑わされないで比較できるので前方定位の違いを感じやすくなります。
ちょっと余談ですが、このボーカルなどのセンターが頭内定位になってしまっているのはAirPodsの空間オーディオのような、イヤホンやヘッドホンで聴く立体音響などでもそうなんですよね。
AirPodsではそれをヘッドトラッキングで頭の動きに合わせて動かすことでセンターから移動して立体に感じられるようになっています。
平面で撮影された画像のはずが対象物を中心に左右にちょっとだけ回るのを繰り返すと立体的に見えるという手法がありますが、あの感覚に近いですね。
前方定位の方法
フロントソニックのヘッドホンやイヤーピースが前方定位をいかに再現しているかは、人の鼓膜と外耳道壁(要するに耳の穴の中の壁)に秘密があります。
人間が耳に入ってきた音に対して前から聞こえるのか後ろから聞こえるかという区別は、耳の中でどう音が反射して鼓膜に当たったかで判断しています。
そのため、前方定位になる角度でイヤーピースからの音を出して外耳道壁の中で反射させてやれば前方から聞こえるようになるというのが大まかな理屈です。
また、人間の鼓膜は太鼓の皮のようにピンっと張られた平面的なものではなく、窪んだ円錐のような形状をしているそうです。
この円錐の角度は外耳道壁の方を向いているので、イヤーピースから出た音がこの鼓膜の角度に対して垂直にあたるように音の挿入角度を調整することで効率的に鼓膜を振動させることができ、高音質なサウンドを楽しめるようになります。
これらがフロントソニックによる前方定位の実現方法になります。
日米で特許も取得されている、しっかりとした原理となっています。
特許登録番号 4913256
米国特許
US PAT. 8942406
形状
EPK10の形状はとても特徴的なものになっています。
なんと、イヤーピースの先端に突起が飛び出していて先端にあるはずの音孔がありません。
それでは音がどこから出るのか?
実は、写真ではちょっと判別しにくいかと思いますが先端の脇に穴が空いているのがわかるでしょうか。EPK10では音を外耳道壁に当てるためにこの穴から音を出すようになっています。
しかもただ穴が空いているだけではなく、傾斜もつけられています。これにより音の射出に角度をつけることで鼓膜に対して垂直にあたるようにと調節されているようです。
この角度も大事な要素と考えるとなかなかに複雑な形状をしたイヤーピースだなということがわかります。
ちなみにJIJUシリーズのようなカップ型ではないですし金属パーツが使われていないので、金属パーツを耳に入れるのが怖いと感じていた方には使ってみやすいものとなっていると思います。
サイズ
サイズはS/M/Lの3種類あります。
今回はフロントソニック様よりMサイズとLサイズを提供していただきました。
※写真はMサイズ
Mサイズがだいぶ小さいサイズになってるのはちょっと注意が必要です。
実際、最初に提供いただいたのはMサイズだったのですが、どうにも自分の耳に小さすぎて無理言ってLサイズを送っていただいたほどです。
上がMサイズ下がLサイズです。これだけ違うのでそりゃあわないわという。
装着方法
EPK10はJIJUシリーズと同じく音を反射させる方向が大切なので、イヤーピースを取り付ける際にイヤーピースの向きというのが重要になります。
具体的には、イヤホンを耳に入れた時に先端に開いている穴が前を向くようにイヤーピースを取りつけます。
この向きが変わると頭内定位になったり音が後ろから聞こえてくるように感じたりするので、イヤホンに装着する際に前を向いているかは確認するようにしてください。
また、装着時の注意点として、多くのイヤーピースには軸の内側にあるイヤホンのノズルを固定するための溝やかえしはないみたいです。
ストレートなのでイヤホンによっては固定する力が弱くなって外れやすくなるかも。
TWSの中にはノズルの背が低いコンパクトタイプも結構ありますのでそういうところでの相性はありそうです。
レビュー
装着感
今回Mサイズが自分には小さすぎたためLサイズを使ってみたのですが、その大きさは直径15mm。(上の写真)
「流石にこれはデカいか……?」と思ったのですが、耳に入れてみたらシリコンが十分柔らかくそれが原因で痛くはなりませんでした。
ただ、サイズとは関係なくEPK10の先端に楕円形の突起がついているのですが……これがちょっと耳に当たってる感覚はあります。
突起部分はブロック状で硬いので、耳に長時間装着していると耳に当たってる部分で少し痛くなる感じはありました。
外出中にも装着してみました。
耳をしっかり塞ぐ形状のため無音時に自分の歩く時の振動を強く感じましたが、それによってイヤーピースが抜け落ちることはなく、安定感がとても高かったです。
さらに、耳をしっかりと塞ぐことで遮音性も高く、電車の走行音などはほとんど気になりませんでした。
歩く時の振動は気になるものの、騒音にも強いのは外でも使いやすいなと思いました。
そして、なんとイヤーピースをつけたままZE2000のケースにしっかり収納ができました!
これは、JIJUシリーズとは大きく異なる点です。
イヤホンを外す時はケースにしまえるということで、移動時も音楽を楽しむことができるのは非常にありがたいです。
音質
イヤーピースの主要な要素である定位と音場については後ほど詳しく説明します。
それ以外の音質について話すと、Lサイズを用いて耳をしっかりと塞いでいるため中低音が主体のバランスになっていると感じました。
高音域も十分に伸びていますが、わずかにノイジーに感じる部分もあります。
これは迫力のある低音域が影響してノイズになっている可能性があるのかも。
音の分離感や解像感は高く、複数の楽器の音が鳴っても混ざり合うことなくそれぞれの楽器が鳴っていて位置の違いもはっきりと区別できました。
その結果未知の音を発見できることがあり、ついついレビューを忘れてしばらく色々な曲を楽しんでしまいました。
定位・音場
前方定位のイヤーピースというだけあって、音が自分の顔より前から鳴っているのが感じられました。
音によっては、目元や鼻先近くから感じることもあります。
しかし、大半の場合、音は目の前から聴こえてくるという感覚が強いです。
前方定位と頭外定位の違いは、センターの定位が異なる点です。
具体的には音場全体に鳴り響くような重低音の時にとても強く感じられます。
通常は「センターが奥に行っているな」と感じる程度ですが、音が場全体から聞こえてくるような場合、自分の前方180度が音で囲まれていると感じます。これにより、低音域の厚みの感じ方が格段に良くなります。
左右の音のつながりの良さは特に素晴らしいです。
これは特にクラシック音楽と相性が良く、コンサートホールで奏者がステージ上に弧を描いて座っている感じがリアルに感じられ、ステレオ音源でも立体感がはっきりと感じられます。
一方、バンド系のライブ音源の音楽は相性が悪いかもしれません。
これは前方定位により距離感が感じられるためです。
頭外定位や通常の頭内定位のイヤーピースではセンターの音が頭の中で響くため臨場感が高く、まるでステージ前で聴いている気分になります。
しかし前方定位のEPK10では、距離感が出るため後方の席から聞いているような気分になります。
これにより、観客の歓声が一体感を擬似体験できる通常のイヤーピースと比べて一体感が薄く感じられてしまいます。
音場は広く感じられますし、ステージ感もしっかりと感じられるので違いの良し悪しは好みが分かれるかもしれません。
しかし、私はバンドなどのライブよりもクラシックコンサートやスタジオ音源向きだと感じました。
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